分詞構文とは
分詞構文とは、分詞が接続詞・動詞の働きをする構文で、一定条件が整った場合は分詞が主語を兼ねることもあります。また、分詞構文は例えば新聞や論文などのフォーマルな文書で使われますが、一部の慣用句を除いて会話での使用頻度は低いです。
なお、今回の記事は、「分詞」について一定の理解ができていることが前提となります。このブログでも「分詞」に関する解説記事を作成しています。分詞に自信のない方はもちろんのこと、さらに英語力を高めたい方も、ぜひ以下の記事を併せてご覧ください♪
解説の前提
以下では多くの分詞構文を扱いますが、その前提となる用語をあらかじめ示しておきます。以降の説明では以下の用語が頻繁に登場しますので、頭の片隅には留めておいてください。なお、現時点で以下の文の意味や作り方が分からなくても問題ありません!
◆副詞節と主節、分詞構文が作る節
接続詞を使った文(①)は、副詞節と主節からなります。副詞節は、主節を修飾する説明句です。分詞構文を使った文(②)では、副詞節が分詞構文を使った節に変化します。なお、文意は、「私はエンジェルスを知った時、彼らとの間に強い繋がりを感じました」です。
① When I got to know the Angels, I felt strong sense of connection with them.
② Getting to know the Angels, I felt strong sense of connection with them.
分詞構文はややとっつきにくいので、あなたにとって身近かもしれない話題、「野球」で例文を用意しました。ドラという架空の選手も登場します♪
分詞構文のアレコレ
下の文章は、私自身の気持ちを表現した英文です。私はエンジェルスという野球チームが好きなのですが、エンジェルスのファンはチームの選手やファン自身のことを「angel」と呼んだりします。私もチーム一員のつもりなので、こういう表現になりました(笑)
◆分詞構文の例文
分詞構文からなる文は一部例外を除き、現在分詞または過去分詞で始まります。過去分詞で始まる場合は、分詞構文は受動態の意味を持ちます。なお、過去分詞で始まる場合も、文頭に「Being」が省略されているだけだと考えられます。
① Being an angel, I have to support the Angels no matter what.
→ 私はエンジェル(エンジェルスファン)なので、私は何があってもチームを支えなくてはならない
② (Being) Verified as an angel by the locals, I was quite happy.
→ 私は地元のファンたちから「エンジェル」と認めてもらえたので、私はとても幸せでした
※この訳文には、あえて「私は」を2回登場させています。理由はのちほど明らかに。
分詞構文とオリジナル文
先の例文は現在分詞「being」で始まる分詞構文でしたが、もともとの文章は以下の通りでした。二つの文章は同じ意味を示しています。つまり、先の分詞構文における「being」は、「接続詞」、「主語」、「述語動詞」という3役を担っていたのです。
◆ 働きものの分詞
分詞構文の分詞は、接続詞・主語・動詞の働きができます。なお、兼ねる接続詞はある程度決まっていて、それが分詞構文の意味を決めます(詳細後述)。また、副詞節の主語と主節の主語が一致しない場合は、分詞構文節の分詞は主語を兼ねられません(詳細後述)。
① Because I am an angel, I have to support the Angels no matter what.
= Being an angel, I have to support the Angels no matter what.
② When I was verified as an angel by the locals, I was quite happy.
= (Being)Verified as an angel by the locals, I was quite happy.
※赤字は同じ働きをする部分。「being」が多くの単語を代替しているのが分かる
分詞構文の接続詞一覧と意味
分詞構文では、分詞構文節で使う現在分詞が接続詞の意味を兼ねることができます。分詞が兼ねられる接続詞には多くの種類があるため、必然的に分詞構文も多くの意味を持ちます。以下に分詞構文で省略される接続詞の一覧表を用意したので、見てみましょう。
代替可能 接続詞 | 意味 | 「接続詞を使った文」と「分詞構文」 | |
---|---|---|---|
① | ・when ・while | 時 (~するとき、 ~する間) | ・When I cheered on him, I was looked at by him. → Cheering on him, I was looked at by him. (彼を応援していたとき、私は彼に見つめられました) |
② | ・because ・since ・as | 理由・原因 (~なので) | ・Because he hit a homer, he looked satisfied. → Hitting a homer, he looked satisfied. (ホームランを打ったので、彼は満足そうでした) |
③ | ・and | 結果 (そして~) | ・The Angels won, and they ranked first in the league. → The Angels won, ranking first in the league. (エンジェルスは勝利し、そしてリーグで1位となった) |
④ | ・if | 仮定 (もし~なら) | ・If we score some runs here, we will win this game. → Scoring some runs here, we will win this game. (もしここで数点取れれば、この試合はイタダキだ) |
⑤ | ・though ・although | 譲歩 (~だけれど) | ・Though he looked nervous, he hit a decisive homer for us. → Looking nervous, he hit a decisive homer for us. (緊張して見えたけれど、彼は決定的なホームランを打ってくれた) |
⑥ | なし | 付帯状況 (~しながら) | ・なし → Singing the standard song, the fans cried tears of joy. (その定番曲を歌いながら、ファンたちは感涙した) |
※接続詞では置き換えできない「付帯状況」も大切な訳し方の一つなので、表に加えた。
以上の通り、分詞構文は多くの接続詞を代替できます。ただ、どの接続詞を省略しているかは話者しか分からず、読み手・聞き手は推測するしかありません。文脈からほぼ明らかな場合もありますが、そうでない場合は接続詞を補足で追加できます(詳細後述)。
分詞構文で主語が違う場合
もともとの文の副詞節と主節の主語が同じ場合、分詞構文で使う分詞は主語を兼ねることができます。しかし、両節の主語が違う場合は、分詞構文の分詞構文節の分詞の前に「意味上の主語」を追加してあげる必要があります。以下で、実例を見ておきましょう。
◆分詞構文と主語
副詞節と主節の主語が同じ場合(①)、分詞構文節の分詞は主語を兼ねられます。一方、②のように副詞節と主節の主語が異なる場合、分詞の直前に意味上の主語が必要です。②では全力疾走したのはドラなので、「running」の前に「Dora」という主語を入れます。
① Being an angel. I must buy their cap.(私は「エンジェル」なので、私は彼らの帽子を買わねばらない)
② Dora running flat out, the fans cheered loudly. (ドラは全力疾走したので、ファンたちは大歓声を上げた)
「意味上の主語」だとまどろこっしいですが、要するに「その行動をしたのは誰か」と言うこと。②では全力疾走したのはドラ選手、歓声を上げたのはファンたちですね。このように節で主語が異なる場合は、分詞の前に行動主体を表す名詞を置くのです。
分詞構文と時制(having+過去分詞)
分詞構文は情報を補足したりするオマケの文章なので、原則的には時制は主節の文章と同一であるとみなされます。なお、分詞構文節で表したい内容が主節文よりも過去の場合、「having + 過去分詞」という専用マークを使うことで、時制の差を表現できます。
◆分詞構文と時制
分詞構文は原則、主節と同一時制として扱われます(①②)。ただし、分詞構文節の描写が、主節よりも過去に起こったことであることを明示したい場合「having + 過去分詞」を使う必要があります(③)。以下で例を確認しておきましょう。
① Having two superstars, the Angels will make it.(二人のスター選手を抱えているため、エンジェルスは勝てるはずだ)
② Eating sushi, I watched the match on TV. (寿司を食べながら、私はその試合をテレビで見た)
③ Having played baseball before, I know the rule of it. (以前野球をやっていたので、私は野球ルールを知っている)
分詞構文とカンマ
分詞構文が文頭に出る場合、分詞構文が終わるところでカンマが打たれます。また、文中に分詞構文が入り込む場合でも、分詞構文を挟み込むようにカンマが打たれることが多いです。ただし、文中の分詞構文は、カンマなしで現れることもあります。
◆分詞構文とカンマ
カンマに注目すれば、分詞構文の存在に気づきやすくなります。ただし、カンマを伴わない分詞構文も存在するので、分詞構文を見分ける際にカンマに頼りすぎるのは危険です。以下の例では③の文は、カンマを伴わない分詞構文になっています。
① Having hit a grand slam, he got a huge cheer. (満塁ホームランを打ったので、彼は大きな声援を浴びた)
② Dora, being hit by a pitch, rushed toward the pitcher. (死球を受けたドラは、投手へと突進した)
③ We celebrated the opening game praying for victory. (私たちは、勝利を願いながら、開幕戦を祝った)
※③は、現在分詞「praying」の前にコンマを打っても何ら問題ない。
接続詞付きの分詞構文
分詞構文では原則、接続詞が省略されます。しかし、例えば「when」と「if」では全く意味が異なるように、分詞構文にすると意味が分かりにくくなることがあります。そのため、分詞構文の意味を明示したい場合、分詞の前に接続詞を置くことができます。
◆接続詞+分詞構文
接続詞を分詞の前に置いて、分詞構文を分かりやすくすることがあります。ただ、理由を表す接続詞、「because」や「since」「as」は分詞の前に置けません。とても紛らわしいですが、これはルールなので覚えるしかありません。
① While having dinner, I watched the game on TV. (夕食を食べながら、私はその試合をテレビで見た)
② If losing here, we won’t make the playoffs. (もしここで負けたら、私たちはプレーオフに出れないだろう)
③ Though swinging hard, he couldn’t go yard. (彼は強振したが、ホームランは打てなかった)
※「go yard」はホームランを打つ、という慣用表現
分詞構文を否定する方法
分詞構文を否定する場合は、分詞の前に「not」か「never」を置けばOKです。なお、分詞構文を含む節が主節より過去であることを示す「having+過去分詞」がある場合は「having」の前、意味上の主語がある場合は意味上の主語の直後に「not/never」を置きます。
◆Not+分詞構文
分詞の直前に「not/never」を置くと、分詞構文を否定できます(①)。②では、「having + 過去分詞」を使っていますが、この場合は「having」の直前に否定語を置きます。③のように意味上の主語が入っている場合、その後ろに「not」を入れるようにしましょう。
① Not pitching an easy ball, he allowed no homers. (甘い球を投げなかったので、彼は一本の本塁打も許さなかった)
② Not having traded him, the Angels is on a roll. (彼をトレードしなかったので、エンジェルスは絶好調だ)
③ Dora not getting hurt in the play, the fans felt relieved.(ドラが負傷しなかったので、ファンたちは安心した)
分詞構文への書き換え
ここまでの記事で、分詞構文の基本を学んできました。ここからは、実際に分詞構文を作る方法について解説していきます。なお、分詞構文の作り方を解説する際は、どのように考えて進めるべきかも記載しますから、以下のルールの丸暗記は不要です。
◆文を分詞構文に変える手順
分詞構文を作る際は、以下の手順で考えてみましょう。なお、文章が与えられずいきなり分詞構文を作るような問題でも、ひとまず接続詞を使った通常の文を作り、その後で以下のような手順で分詞構文にするとよいでしょう。慣れれば簡単ですので、頑張りましょう!
① 分詞は接続詞を代替できるか確認(when,while,because,since,as,and,if,thoughなど)
② 分詞は主語を代用できるか確認(副詞節と主節の主語が異なれば、分詞構文に意味上の主語が必要)
③ 分詞構文で「having + 過去分詞」を使うべきか確認(副詞節が主節より過去なら使う)
④ 副詞節の接続詞と主語を削除する
⑤ 副詞節の動詞を現在分詞に変える(必要に応じ、「意味上の主語」と「having…」を追加)
⑥ 受動態の「being」が文頭に来た場合は省略(= 過去分詞で始まる受動態の分詞構文になる)
⑦ 否定の場合は、分詞の前に「not」を入れる(意味上の主語がある場合は、その後ろへ)
現在分詞から始まる分詞構文
例文を分詞構文に変える練習をしましょう。上のチャートの手順で、進行していきます。説明では「副詞節」と「主節」を多用しますので、その意味が不安な方は冒頭の説明を再度確認しましょう。なお、副詞節には青、主節には赤のラインを引いておきます。
練習問題1
・Because he made a great catch, he got a standing ovation.
→(彼は素晴らしい捕球をしたので、観客からのスタンディングオベーションを受けた)
分詞構文の分詞は、最大で「接続詞」「主語」「動詞」の3機能を持つ。原文の接続詞「because」は分詞が代替できる接続詞(原因)の一つ。よって、「beacause」を消しても分詞がその意味を持てる。また、副詞節と主節の主語が「he」で共通なので、分詞は主語の代わりもできる。
また、副詞節と主節ではともに過去形が用いられているため、時制は共通。よって「having+過去分詞」を使う必要はない。副詞節の動詞「made」を現在分詞「making」に変えて文頭に置く。今回は否定文ではないので、「not」を入れる必要はなく、これで完成。
・Making a great catch, he got a standing ovation.
→(彼は素晴らしい捕球をしたので、観客からのスタンディングオベーションを受けた)
練習問題2
・Because he had been tremendous in the last season, he won a MVP award.
→(彼は昨季において素晴らしかったので、MVPを勝ち取った)
接続詞「because」は分詞が代替可能。主語は、副詞節・主節ともに「he」で共通なので、分詞は主語を兼ねられる。両節の時制は、副詞節に「had+過去分詞」= 完了形の表現があるため、副詞節の方が主節よりも過去。つまり、分詞構文節では「having+過去分詞」が必要になる。
次に、分詞構文用の現在分詞をつくるが、今回は「having+過去分詞」を使うため、現在分詞の役割は「having」が務める。後ろの過去分詞役は、元々の動詞「been」が担当。完成した「having been」を文頭に置く。今回は否定文ではないので、これで完成。
・Having been tremendous in the last season, he won a MVP award.
→(彼は昨季において素晴らしかったので、MVPを勝ち取った)
練習問題3
・When Dora had hit a big homerun, the fans started chanting ‘MVP‘
→(ドラが大きなホームランを打ったとき、ファンたちはMVPと囃し立て始めた)
接続詞「when」は分詞が代替可能。主語は副詞節で「Dora」、主節で「the fans」と異なるため、分詞は主語を代替できない。よって分詞構文には意味上の主語(Dora)が必要。また、副詞節の時制は主節よりも過去で、分詞構文では「having+過去分詞」も必要になる。
次に動詞を現在分詞に変えるが、今回は「having+過去分詞」の「having」が現在分詞役を務める。後ろの過去分詞は、元々の動詞「hit」の過去分詞形「hit」。完成した「having hit」を文頭に置き、「having」の前に意味上の主語(Dora)を追加して完成。
・Dora having hit a big homerun, the fans started chanting ‘MVP’.
→(ドラが大きなホームランを打ったとき、ファンたちはMVPと囃し立て始めた)
過去分詞から始まる分詞構文(beingの省略)
過去分詞から始まる受動態の意味を含む分詞構文は、文頭にあった「being」が省略された分詞構文です。そのため、現在分詞から始まる分詞構文を作る時と変わりなく文を作っていけます。ここでも、分詞が①接続詞、②主語、③動詞の働きを中心に見ていきます。
練習問題1
・When he was sent to the minor league, he looked sad.
→(彼がマイナーリーグに送られたとき、彼は悲しそうに見えた)
分詞は特定の接続詞を代用できるが、「when」はその一つ。また、副詞節と主節の主語を見ると、両方とも「he」。よって、副詞節の分詞は主語を兼ねることができ、意味上の主語の追加は必要ない。また、両節の時制は同一なので、「having + 過去分詞」を使う必要もない。
後は、副詞節の動詞を現在分詞に変えれば分詞構文の完成。副詞節の動詞は「was」なので、現在分詞は「being」となる。この「being」は副詞節の接続詞「when」と主語「he」を兼ねたうえで、動詞としても機能する。文頭の「being」は省略できるので、省略して完成。
(Being) Sent to the minor league, he looked sad.
→(彼がマイナーリーグに送られたとき、彼は悲しそうに見えた)
練習問題2
・Though he was given the MVP award unanimously, he stayed humble.
→(彼は満場一致のMVPを送られたものの、謙虚さを失わなかった)
分詞はいくつかの接続詞を代用できるが「though」はそのうちの一つ。副詞節と主節の主語は同じなので、分詞は主語を兼ねられる(意味上の主語不要)。両節の時制を見ると、どちらも過去形で同一。よって、時制の差を示す「having + 過去分詞」を使う必要はない。
次に、副詞節の動詞を現在分詞に変える。副詞節の動詞は「was」なので、これを「being」に変えて文頭へ。この「being」は副詞節の接続詞「though」を兼ね、副詞節の主語「he」の意味も持ち、かつ動詞として受動態も作れる。文頭の「being」は省略可能なので、省略して完成。
・ (Being) Given the MVP award unanimously, he stayed humble.
→(彼は満場一致のMVPを送られたものの、謙虚さを失わなかった)
練習問題3
・When he was hit by a pitch, he showed no anger at the pitcher.
→(彼が死球を受けたとき、彼は投手に一切の怒りを見せなかった)
分詞はいくつかの接続詞を兼ねられるが、「when」はその一つ。副詞節と主節の主語を見ると、主語はどちらの節も「he」であり、分詞は主語を兼ねられる(意味上の主語不要)。両節の時制は同じなので、今回は時制の差を表す表現「having + 過去分詞」も必要ない。
後は、副詞節の動詞を現在分詞にする。副詞節の動詞は「was」なので現在分詞は「being」で、これを文頭に置く。この「being」は副詞節の接続詞「when」と副詞節の主語「he」を兼ね、さらに動詞として受動態を作れる。ただし、文頭の「being」は省略できるので省略して完成。
・(Being) Hit by a pitch, he showed no anger at the pitcher.
→(彼が死球を受けたとき、彼は投手に一切の怒りを見せなかった)
分詞構文の見分け方
分詞構文を見抜くためには、例えば以下の様な方法が考えられます。ただし、分詞構文にはカンマがない場合もありますし、分詞構文は文中に潜り込むことも多いです。そのため、以下の内容は分詞構文を見分けるヒントになり得る、という域を出ません。
・文が動詞の進行形や過去形(現在分詞・過去分詞)で始まっている
・文の中にコンマがある、または挿入句をコンマが囲まれている
「急がば回れ」で学習しよう
公式を期待する方には恐縮ですが、分詞構文を見分けるには結局のところ英語に習熟するのが一番です。分詞を扱う文法は多数あり、例えば「現在進行形」、「動名詞」、「形容詞分詞」「受動態」など。ただ、それぞれの文法に習熟していれば、本来見分けは簡単なはずです。
「分詞構文かどうかを確認する公式」があるとしても、それに頼ることは効率的とは思えません。さらに言えば、本質的でもないでしょう。この解説記事などで分詞構文自体の理解を深めるほか、他文法にも習熟すれば、自然と意味が取れるようになりますよ。
分詞を使う文法の紹介
分詞を用いる文法には、例えば以下の様なものがあります。個別文法に親しむためには、シンプルな例文を繰り返し音読するなどの手法も有益です。また、少しでも皆さんの助けになるよう、以下に関連文法の解説記事をも掲載しますので、ぜひご覧ください!
◆分詞を用いる文法の例(分詞構文以外)
分詞を使う文法の例を、以下でご紹介します。なお、例えば完了形に「現在完了進行形」があったり、受動態に「過去完了受動態」があるように、個別文法には多くの派生文法があります。ただいずれも、基礎が分かっていれば、論理的に組み立てられる文法です。
①現在進行形 : I am playing tennis. (進行形では、be動詞の後に現在分詞を用いる)
②動名詞:Playing tennis is my hobby.(動名詞は「~すること」という名詞を作る)
②動名詞:I like playing tennis.(動名詞は特定の動詞とペアを組み、動詞+-ingを作る)
③形容詞分詞:I like the girl playing tennis over there.(形容詞としてthe girlを修飾)
④受動態:This game is played by me.(受動態では過去分詞を用いる)
⑤完了形:I have finished the task. (完了形でも過去分詞を用いる)
なお、分詞構文は、接続詞(時には主語も)という本来あるべきものがない省略文法です。ある程度英語に親しめば、あるべきものがないことに違和感を感じて分詞構文に気づけます。さらに英語に慣れれば、違和感を感じることもなく脳内で自動補足ができるようになりますよ。
分詞構文を使う「慣用表現」
分詞構文は基本的には口語では使われませんが、一部の慣用表現は会話でも頻繁に使われます。とても便利な表現が多く、日常会話での活用はもちろん、英作文やスピーキングテストなどでも使えるでしょう。テストなどで使えば、「英語理解の深度」をアピールできるでしょう!
表現 | 意味 | 例文 | |
---|---|---|---|
① | Frankly speaking, | 率直に 言えば、 | ・Frankly speaking, we would beat them easily. (率直に言えば、私たちが彼らを倒すのは簡単でしょう) |
② | Generally speaking, | 一般的 に言って、 | ・Generally speaking, a better pitcher becomes a starter. (一般的に言って、よりよい投手が先発投手になる) |
③ | Strictly speaking, | 厳密に 言えば | ・Strictly speaking, we have six pitchers to start. (厳密に言えば、私たちは6人の先発投手を保有している) |
④ | Technically speaking, | 厳密に 言えば (が、実際は違う) | ・Technically speaking, this game isn’t over yet. (厳密に言えば、この試合はまだ終わっていない)(が、実質的には終わっている) |
⑤ | Speaking of A | Aと 言えば | ・Speaking of a breaking ball, Dora’s sweeper is nasty. (変化球と言えば、ドラのスウィーパーはエグイね) |
⑥ | Judging from A | Aから 考えると | ・Judging from his big swing, he must aim for a homerun. (彼の大振りから考えると、彼は本塁打を狙っているに違いない) |
⑦ | Considering A | Aを考慮 すると | ・Considering our lineup, I can say we’re the best. (私たちの陣容を考慮すれば、私は私たちが最高だと言える) |
⑧ | All things considered, | 全てを 考慮すると | ・All things considered, Dora should pinch-hit here. (全てを考慮すると、ここはドラ選手が代打で出るべきだ) |
⑨ | weather permitting, | 天気が 良ければ | ・Weather permitting, I would go to the stadium to cheer. (天気が良ければ、私はスタジアムに行って応援するよ) |
付帯状況を表す「with」
英文に付帯状況を表す「with」を付け足すことで、状況・様子を補足することができます。この「with」は直後に「名詞」を置き、さらにその状況を伝える説明語(分詞・形容詞・副詞句)を続けます。適切な説明語は「名詞」と「説明語」の関係によります。
つまり、「with」の後に並べる2単語を使い、表現したい状態を示す英文を作るのです。そこで使われた説明語が、「with」で使うべき説明語になります。例えば、「彼の手を振りながら」を作りたい場合、「he is waving his hands」なので、「with his hands waving」です。
訳し方としては、「『名詞』を『説明語』の状態にして」などとします。例えば「with his eyes closed」ならば、「瞳を閉じた状態で」などですね。
表現 | 例文 | |
---|---|---|
① | with+名詞+形容詞 | ・Do not shout like that with the window open. (窓を開けた状態でそんな風に叫ばないでください) →「the window is open」となるので「with the window open」。 ・Dora’s being dominant on the mound with his sweeper nasty. (ドラは、切れ味抜群のスウィーパーを操り、支配的な投球をしている) →「His sweeper is nasty」となるので、「with his sweeper nasty」 |
② | with+名詞+副詞 | ・Dora came to the plate with his bat on his shoulder. (ドラはバットを肩に担いで、打席に入った) →「his bat was on his shoulder」となるので「with his bat on his shoulder」 ・All fans in the stadium kept silent with their eyes on him. (球場の全てのファンは、視線をドラに向けたまま沈黙を保った) |
③ | with+名詞+現在分詞 | ・He was facing a pitch with his bat moving. (彼はバットを動かしながら打席に立っていた) →「his bat is moving」となるので「with his bat moving」 ・I was watching the scene on TV with my heart racing. (私はドキドキしながら、テレビでその場面を見ていました) |
④ | with+名詞+過去分詞 | ・When Dora hit, the left fielder stood still with his arms folded. (ドラが打った時、その左翼手は腕を組んだままじっと立っていた) →「his arms were folded」となるので「with his arms folded」 ・Amid a loud cheer, Dora rounded the bases with his emotions hidden. (大歓声の中、ドラは感情を見せずにダイヤモンドを一周した) →「his emotions were hidden」となるので「with his emotions hidden」 |
分詞構文の問題、確認クイズ!
それでは、分詞構文の理解度を試す確認クイズに挑戦してみましょう!
答え:Hitting a big homer, he looked quite excited.
分詞はいくつかの接続詞を兼ねられるが、「when」はその一つ。副詞節と主節の主語を見ると、主語が「he」で共通なので、分詞は主語を兼ねられる(意味上の主語は不要)。両節の時制も同じなので、時制の差を示す「having + 過去分詞」を使う必要もない。
後は、副詞節の動詞を現在分詞にする。副詞節の動詞は「hit」なので、現在分詞は「hitting」。この「hitting」は副詞節の接続詞「when」を兼ね、かつ主語「he」の代わりもする。この「hitting」を文頭に出して完成。文意は、「大きなホームランを打った時、彼はとても興奮して見えた」となる。
なお、分詞構文は接続詞を省略しているので、例えば「when」ではなく「because」の意味にとられる可能性もある。分詞構文では分詞の前に接続詞を付けて意味を補足できるため、「When hitting a big homer, he looked quite excited.」としてもよい。
※「理由」を表す接続詞は、分詞構文の分詞の前に置くことはできない。つまり、「Because hitting a big homer, he looked quite excited.」は作れない。
答え:(Being) struck out, he throw his bat away.
「when」は分詞で代替できる接続詞の一つ。副詞節と主節の主語はともに「he」、時制も過去形で共通。よって、分詞構文で用いる現在分詞「being」は、「接続詞(when)」と「主語(he)」の機能を持ち、かつ「be動詞」としても受動態を作る。
「being」を文頭に置いて「Being struck out, he threw his bat away.」を作る。文頭にある受動態を示す「being」は省略できるので削除し、「Struck out, he threw his bat away.」を得る。文意は、「三振に打ち取られたとき、彼はバットを投げ捨てた」。
答え:(Being) Tired, he couldn’t perform at his best.
接続詞「because」は分詞で代替可能。副詞節と主節の主語は「he」で共通、時制も過去形で共通。よって、分詞構文の分詞は、「接続詞(because)」と「主語(he)」の役割を持ちながら、動詞としても機能できる。
次に副詞節の動詞を現在分詞にする。副詞節の動詞は「was」なので現在分詞は「being」。これを文頭に出すと「Being tired,…」を得る。ただし、分詞構文の文頭にくる受動態の「being」は省略できるので、「Tired, he couldn’t perform at his best.」を得る。なお、文意は「彼は疲れていたので最大限の力を出せなかった」である。
答え:Dora getting a hit here, we will make the playoffs.
「if」は分詞構文で代替できる接続詞。主節と副詞節では時制が違うように見えるが、これは「if」が条件の副詞節であり、未来形でも現在形で表すというルールに従っているため。よって、副詞節の内容が主節よりも過去、と考えることはできない(=時制は同一)。
また、副詞節と主節では主語が異なるため、分詞構文節には意味上の主語を残さなければならない。なお、意味上の主語は副詞節の「Dora」である。次に、原文の副詞節にある動詞「get」を現在分詞「getting」に変えて、「Dora」の後ろに置く。
これで「Dora getting a hit here, we will make the playoffs.」を得る。ここでの「getting」は「接続詞(if)」の働きも兼ねている。なお文意は、「もしここでドラがヒットを打てば、私たちはプレーオフに出られるだろう」である。
答え:Dora having been nominated for the award, his fans became happy.
「because」は分詞構文で代替できる接続詞。副詞節と主節の主語を見ると、主語が違う。よって、分詞構文節には意味上の主語「Dora」を置かなくてはならない。また、両節は時制も違うため、分詞構文節には「having+過去分詞」も用いなくてはならない。
分詞構文を作るためには現在分詞が必要だが、今回は「having+過去分詞」の「having」が現在分詞役を担ってくれる。続く過去分詞役は、元々の文にある「been」が担う。意味上の主語は「having」の前に置くので、「Dora having been nominated for the award, his fans became happy.」を得る。
答え:Given an intentional walk, he had no chance to swing his bat.
理由を表す「since」は分詞構文で代替できる接続詞。副詞節と主節の主語は「he」で共通しており、分詞は主語を兼ねられる。また、副詞節と主節の動詞はともに過去形なので、副詞節の内容が主節よりも過去であることを示す「having+過去分詞」も必要ない。
次に、副詞節の動詞を現在分詞にして分詞構文を作る。副詞節の動詞は「was」なので、現在分詞は「being」である。この「being」は「接続詞(since)」と「主語(he)」の機能を併せ持ったうえで、動詞として受動態を作ることができる。
この「being」を文頭に置いて「Being given an intentional…」を得る。ただし、分詞構文では文頭に出た受動態を表す「being」は省略できるので、「Given an intentional walk, he had no chance to swing.」を得る。なお文意は、「彼は故意四球を与えられたので、バットを振る機会が無かった」となる。
※「walk」とは野球用語では「四球」を意味する。「intentional(意図的な)」がつくと、わざと与える四球、つまり故意四球となる。(ホームラン等の長打を打たれるよりは傷が浅いため、あえて無条件で出塁を許すという戦術です。…って、英語に関係ないですね!)
答え:Not swinging your bat, you will never get a hit.
「if」は分詞構文で代替できる接続詞。主節と副詞節では時制が違うように見えるが、これは「if」が条件の副詞節であり、未来形でも現在形で表すというルールに従っているため。よって、副詞節の内容が主節よりも過去、と考えることはできない(=時制は同一)。
両節の主語は「you」で共通。また、副詞節が否定形なので、分詞構文も否定語を含まなければならない。分詞構文に否定語を追加する場合、分詞の直前に置けばよい(意味上の主語がある場合は、その直後)。なお、否定語の追加は一番最後に行うのでひとまず保留。
分詞構文を作るため、現在分詞を作る。原文の動詞は「swing」なので、これを現在分詞にして「swinging」を得る。この「swinging」は、接続詞(if)と主語(you)を代替したうえで、本来の動詞としての機能も持つ。これを文頭に置いて「Swinging your bat,….」としたうえで、その直前に否定語「not/never」を加える。今回は、「Not」にした。
答え:He came to the plate with the bases loaded. (彼は満塁で打席に入った)
これは「with+名詞+説明語」で付帯状況を表すパターン。名詞がどのような状況にあるかを直後に置く説明語が解説する。説明語には形容詞、過去分詞、現在分詞、副詞など様々なものが入り得る。何を置くのが適切かは、表したい内容を英語で作ってみるのが良い。
今回は「満塁」を表現したい。満塁と言うのは、ベースが全て埋まっている状況なので、「The bases are loaded」と表せる。「bases」と「loaded」がペアになるので、これを「with」の後に並べて「with the bases loaded」を得る。なお、「with the bases full」でもよい。この場合も、「The bases are full(ベースは満杯です=満塁)」と言える。
答え:Not being a veteran, he is always calm at bat.
「though」は分詞構文で代替できる接続詞の一つ。副詞節と主節の主語はともに「he」で共通なので、分詞構文の分詞は主語を代替できる。また、両節の時制はともに現在形なので、「having+過去分詞」の利用は不要。ただし、副詞節が否定形であることは注意しておく。
分詞構文を作るため、動詞を現在分詞に変える。副詞節の動詞は「is」なので、その現在分詞は「being」。この「being」は接続詞「though」と主語「he」の機能を併せ持ったうえで、かつ動詞本来の意味を持つこともできる。これを文頭に置いて、分詞構文を作る。
ただし、今回は副詞節が否定文だったので、分詞構文も否定語「not」を含まなくてはならない。「not」は分詞の前に置くので、「Not being a veteran, he is always calm at bat.」を得る。なお文意は、「彼はベテランではないが、打席の中ではいつも落ち着いている」。
※「at bat」は「打席で」を意味する
答え:Frankly speaking, I am tired.
お疲れ様でした(笑)。分詞構文は基本的に文章の中でしか使われませんが、一部の慣用表現は会話でも普通に使われます。英作文にも、スピーキングにも、もちろん円滑な日常英会話にも有用な表現なので、どんどん使って覚えていきましょう。こればっかりは、「Weather permitting, 」ではダメですよ♪
さいごに
分詞構文を理解するためには、分詞がどんな時にどんな働きが出来るのかを体で覚えるのが第一です。また、分詞が代替できる接続詞の種類が体に染みついていれば、分詞構文を理解するのが簡単になります。この記事を使って、何度も復習してください♪