付加疑問文を知る
それでは、付加疑問文について学んでいきましょう!付加疑問文は、原則的に通常の文法ルールにのっとって作られる疑問文ですから、すぐにマスターできますよ♪
付加疑問文とは
何かを言った後で、それが正しいか確認したくなるときってありませんか?私には、よくあります。例えば、朝に車で家族を駅に送る際に「今日は8時出発、そうだよね」と言ったりします。出発時間は分かっているつもりですが、念のため確認しておきたくなるんですよね。
私の個人話はさておき、このように何かを言った後で、念のためその内容を確認することはよくある話だと思います。そして、このように確認や同意を取る追加質問こそが付加疑問文と呼ばれます。その名の通り、主文の後ろに付加(追加)される疑問文と言うことですね!
◆付加疑問文とは
・確認や同意取得を目的とした、主文の後ろにつく短い疑問文
・文全体は、「~ですよね」や「~ではないですよね」などの意味になる
イントネーションと意味変動
付加疑問文は主文内容に関する「同意取得」や「確認」に使われますが、文末イントネーションによって意味が変わります。具体的には、文末を下げて発声すると「同意」、上げて発声すると「確認」になります。「文末を上げる=疑問度が高い」と考えると、覚えやすいでしょう。
◆イントネーションで変化する意味合い
付加疑問文は、そのイントネーションによってニュアンスが微妙に異なります。発言内容の同意を求めるとき(確信度が高いとき)は文末を下げて発声し、発言内容の確認をしたいとき(確信度が低いとき)は疑問文と同じように文末を上げて発声しましょう。
Kenshiro is strong, isn’t he(↓)? (ケンシロウって強いね。:同意)
Mamiya is also strong, isn’t she(↑)? (マミヤも強いよね?:確認)
構造的な特徴
付加疑問文は、主文の肯定・否定と逆の性質を持ちます。例えば、主文が「Taro can…,」という肯定文ならば、付加疑問文は否定疑問文となり「can’t he?」となります。一方、主文が「Taro can’t…,」という否定文なら、付加疑問文は肯定疑問文の「can he?」になるのです。
また、例の通り、付加疑問文は肯定・否定いずれの場合でも、2語で構成します。なお、その2語とは、「主文の動詞(be/助動詞、do系)」と「前文の主語を指す代名詞」です。付加疑問文が否定疑問文になる場合は、例えば「doesn’t」のように短縮形を作ります。
◆付加疑問文の構造
主文, 「①be動詞/助動詞/do/does/did」+「②主文の主語を指す代名詞」
※主文が肯定文の場合は、①に「not」をつけて短縮形「-n’t」を作る
これだけだとまだ分からないと思うので、実際の付加疑問文の具体例を見てみましょう。特別に難しい文法ではないので、すぐに身に付きますよ♪
付加疑問文の具体例
付加疑問文をより具体的に見てみます。コンマ以降に、前文で使われていた動詞と主語を反映させた2語の疑問文が付加されている点と、主文と付加疑問文の肯定/否定が対になっている点に着目してください。なお、付加疑問文の作り方は後ほど詳しく扱います。
主文の動詞 | 主文の肯否 | 付加疑問文の肯否 | 例文 |
---|---|---|---|
be動詞 | 肯定文 | 否定疑問文 | This is a pen, isn’t it? (これはペンだよね) |
肯定文 | 否定疑問文 | I am wrong, aren’t I? (※1) (僕が間違っているよね) | |
否定文 | 肯定疑問文 | Tom isn’t from Japan, is he? (トムは日本出身じゃないよね) | |
一般動詞 | 肯定文 | 否定疑問文 | Jim likes dogs, doesn’t he? (ジムは犬好きだよね) |
否定文 | 肯定疑問文 | Jim doesn’t know her, does he? (ジムは彼女を知らないよね) | |
助動詞 (will/can/など) | 肯定文 | 否定疑問文 | Taro will come here, won’t he? (太郎はここに来るよね) |
否定文 | 肯定疑問文 | Taro can’t be right, can he? (太郎が正しいわけないよね) | |
助動詞 (※2) (完了を表す「have」) | 肯定文 | 否定疑問文 | Hanako has come, hasn’t she? (花子はもう着いたよね) |
否定文 | 肯定疑問文 | I haven’t been right, have I? (僕がずっと間違っていたよね) |
※2 助動詞には、完了形を作る助動詞「have」を含む。完了形はやや難しいため、初学者は後回しにしてよい。
付加疑問文を作る
ここまで付加疑問文の役割や構造を、例文付きで見てきました。次は実際に付加疑問文を作ってみましょう。なお、ここでは付加疑問文の前につく文を主文と呼ぶこととします。そして、以降で例に出す主文は、「Tom likes Jerry.」と「Tom isn’t a dog.」の2文とします。
◆付加疑問文の構造(再掲)
主文, 「①be動詞/助動詞/do/does/did」+「②主文の主語を指す代名詞」
※主文が肯定文の場合は、①に「not」をつけて短縮形「-n’t」を作る
Step 1 付加疑問文の先頭の単語を決める
主文で使われている動詞が「be動詞」か「助動詞」ならそれをそのまま、一般動詞の場合は時制や三人称の有無などで「do/does/did」のいずれかを付加疑問文の先頭に置きます。また、主文と付加疑問文の中にある「not」が計一つになるように付加疑問文の「not」を調整します。
Step 2 付加疑問文の主語を決める
次に、付加疑問文の主語を決めます。付加疑問文の主語は、固有名詞は用いず主文の主語を指す代名詞を使います。また、主文の主語がモノの場合は、主語の単数複数に応じて「it」または「they」を用います。「this/that/these/those」などは通常は用いません。
ここまでが、基本的な付加疑問文の解説でした。繰り返し練習して、定着させましょう。続いては、その他のやや例外的な付加疑問文をご紹介していきます。
そのほかの付加疑問文など
ここからは、定型的に使われる付加疑問文をや便利表現を3つご紹介します。以降の表現については、構造を分析したり文を考えると言うよりは、パターンに沿って機械的に追加する感じで大丈夫です。これらは定型的な表現ですから、深く考えずに覚えてしまってOKでしょう。
1. 「命令文, will you?」:~してね。
私は「Pass me the salt, will you?」の例文で、この用法を記憶していました。学生時代に教科書で学んだのかもしれません。そんな余談はさておき、この「will you?」で命令の響きを緩和できます。なお、さらにお願い度を高める場合、「will you」を「won’t you」に変えます。
◆命令文, will you?
命令文に「will you?」をつけると、命令の響きを薄めることができます。なお、響きを更にマイルドにする場合は「won’t you?」をつけることもできます。ただし、先に続く命令文が否定文の場合、使えるのは「will you?」のみで「won’t you?」は使えません。
◎ Come to the party, will you? (パーティにくるよね)
◎ Come to the party, won’t you? (ねぇ、パーティにきてよね)
◎ Don’t be late, will you? (遅刻はダメよ)
× Don’t be late, won’t you?
2. 「Let’s …, shall we?」: ~しましょうか?
「Shall we dance?」のフレーズで有名な「Shall we~(しませんか)?」も付加疑問文的に使うことが出来ます。「Let’s」 は勧誘表現で命令の響きは強くありませんが、文法的には「Let us」と命令文です。そこで「shall we?」を使うと、よりマイルドな響きになります。
◆Let’s …, shalll we?
「Let’s …」で始まる勧誘の最後に、「shall we?」をつければ控えめな提案になります。
◎ Let’s go to the park, shall we? (公園に行きましょうか?)
3. 「Right?」:ですよね?
発言内容に同意や確認を求める際に利用できる表現には、付加疑問文以外のものもあります。例えば、文末に正しいを意味する単語「right」をつけるのもその一つ。単語一文字を追加するだけで内容の確認ができると言う点は非常に便利。試験はともかく、日常会話では頻出です。
◆「確認・同意」を表現する表現
文末に「right」を追加すると、「そうでしょう?」や「あってますよね?」という意味を表現できます。便利な表現ですがカジュアル寄りの表現であることに注意しましょう。なお、「right?」は前の文が肯定文でも否定文でも使うことができますよ。
◎ You are Akane, right?(アカネさん、ですよね?)
◎ This is not yours, right? (これは君のものじゃないだろ?)
確認クイズに挑戦
それでは、付加疑問文の作り方の理解度を試すクイズに挑戦してみましょう!
答え:Yumi studies English every day, doesn’t she?
(ユミは毎日英語を勉強していますよね)
主文の動詞は「studies」で「一般動詞(三単現)」。一般動詞を使った文を疑問形にするには「does」を使うが、主文に「not」がないので「doesn’t」にする。主文の主語は女性単数なので、使う代名詞は「she」。そのため、付加疑問文は「doesn’t she?」となる。
答え:Tom cannot understand Japanese, can he?
(トムは日本語が理解できないですよね)
主文の動詞は助動詞の「can」。助動詞を使った文を疑問形にする際は、助動詞そのものを文頭に置けばよく、「can」を文頭に置く。なお、主文にすでに「not」が含まれているので、「can」に「not」を追加する必要はない。主文の主語は「Tom」であり男性単数、これを指す代名詞「he」。そのため、付加疑問文は「can he?」となる。
答え:Yumi called Ken yesterday, didn’t she?
この文は、「電話した」という事実を確認する文。つまり主文は「電話したことを示す肯定文」で、そこに付加疑問文がつく。「電話した」を表す一般動詞「called」を用いる文を作る。
主文の動詞は一般動詞の過去形。疑問文を作るために「did」を付加疑問文の冒頭に置くが、主文に「not」が含まれていないので「didn’t」にする。主文の主語は「Yumi」という女性単数であるため、代名詞は「she」。これらのことから、付加疑問文は「didn’t she?」となる。
答え:I am a genius, aren’t I?
この内容を表現するためには「私は天才です」という文を作り、その後ろに同意を求める付加疑問文をつければよい。「私は天才です」は「I am a genius.」との肯定文で表せる。この後ろに付加疑問文をつければよいが、「I am…」で始まる文に付加疑問文をつける場合、付加疑問文は例外的に「aren’t I ?」という特殊形を取る。なお、「aren’t I」の代わりに「right」も可。
答え:Don’t stay up late, will you?
夜更かしするは「stay up late」。この行為(stay up late)を禁止するためには「do」と「not」を使って「don’t」を作って文頭に出し、禁止の命令文とすればよい。なお、「will you」は命令文の後につける付加疑問文の用法があるので、命令文の後ろに付ければよい。
さいごに
教科書に載っているとしても、ほんの少しサラッと触れられる程度の「付加疑問文」ですが、自然な英会話を目指すなら是非とも押さえておきたい表現ですね。試験で出る出ないにかかわらず、豊かな英語表現には重要な表現ですから、ぜひとも身につけたいところです!