そもそも疑問詞とは?
「あなたは野球が好きですか?」と「あなたはどのチームが好きですか?」という質問を見てみましょう。これら質問の違いの一つに「はい/いいえで答えられるか」があると思いませんか?前者は「はい(好きです)」で答えになりますが、後者は「はい」では答えになりません。
これは、後者の質問に「どの」という言葉が含まれているからです。「どの」が選択肢を示すように、具体的な質問をする際に使われる言葉を「疑問詞」と言います。「疑問詞」には、「どの」のほかにも、例えば「誰が」「何を」「どんな」「いつ」「どこで」などがあります。
英語を理解するうえでは「疑問詞は具体的質問に役立つ」くらいで押さえておけばOK。定義そのものが必要になることはまずありませんからね。
英語の疑問詞一覧表
英語でも「疑問詞」の概念があります。以下に疑問詞の一覧表を用意したのでチェックしましょう。なお、疑問詞「Who」には3種類の活用系(who/whose/whom)がありますが、それらを一つと捉えてから、残りの疑問詞の頭文字を取り、「疑問詞=5W1H」とすることもあります。
5W1Hの疑問詞
疑問詞 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
who | だれ、だれが | ・Who are you? (君はだれですか?) ・who did this? (だれがこれをやったの?) |
whose | だれの | ・Whose pen is this? (このペンはだれのもの?) |
whom | だれに、だれを | ・Whom did you write to? (君はだれに手紙を書いたの?) ・Whom did you like? (君はだれを好きだったの?) |
what | 何が、何を | ・What made you angry? (何が君を怒らせたの?) ・What do you want to eat? (君は何を食べたい?) |
which | どれが、どれを | ・Which is right? (どれが正しいの?) ・Which one do you chose? (君はどれを選ぶ?) |
when | いつ | ・When will you go? (君はいつ行くの?) |
where | どこで | ・Where will we meet? (僕たち、どこで会おうか?) |
why | なぜ | ・Why are you crying? (なぜ君は泣いているの?) |
how | どんな | ・How are you?(君はどんな状態?=ご機嫌いかが?) |
「Who」と「Whom」の使い分け(発展)
「whom」は文法的には「who」の「目的格」です。目的格ということは、「whom」は他動詞の直後に置く目的語(O)と同じグループにいると言うことです。つまり、疑問文の先頭にある「who」が、一般動詞の目的語となっているときは「whom」が使えるということです。
【「Who」と「Whom」の使い分け1】
〇 Who(m) do you like? (Whoがlikeの目的語。likeは「Oを好む」の意)
〇 Who(m) did you call? (Whoがcallの目的語。callは「Oに電話する」の意)
× Whom are you?(Whoは補語。動詞の目的語ではないためwhomは使えない)
× Whom went there? (Whoは主語。動詞の目的語ではないためwhomは使えない)
さらに超応用編として「前置詞+whom」を文頭に置くこともあります。この用法では「who」は使えず、同様の表現をするためには文頭に「who」を置き、文末に前置詞を残します。ただ、この用法は英語に親しんでからでないと理解が難しいため、始めは無視してもよいと思います。
【「Who」と「Whom」の使い分け2】
〇With whom do you live? = Who(m) do you live with? (君は誰と一緒に住んでるの?)
〇 To whom did you write? = Who(m)did you write to? (君は誰に手紙を書いたの?)
※「前置詞+whom」の文法は難しい。まずは、「who」を文頭に出し、文末に前置詞を残す疑問文から習得しよう。
※イコール後ろの文、「who・・・前置詞?」の並びの場合、文頭の「who」は「whom」でも良い。
正直な所「who」と「whom」に苦手意識のある方は多く、無理すると挫折を招くかも…。会話では使い分けはほぼ不要ですし、始めはスキップOKです♪
疑問詞を使って疑問文を作ろう
一覧表中の「疑問詞」を使って疑問文を作る場合でも、「疑問文の基本ルール(V+S…?)」を理解している必要があります。この基本ルールについて、詳しくは以下のリンク先の記事で解説していますので、理解に自信のない方はリンク先で内容を復習してから、先に進みましょう。
さて、それでは疑問詞を使った疑問文の作り方を学びましょう。私もその昔、疑問詞の扱いに苦戦したものですが、だからこそ自分なりに考えを整理する方法を考えてきました。そして辿り着いた方法が、疑問詞を使った疑問文の作り方を以下の3パターンに分ける、というものです。
なお、ここでの「疑問詞が主語」とは、それぞれの疑問詞が「~が」の意味を持つことを指します。例えば「who」で「だれが」を「what」が「なにが」を「which」が「どれが」を表す場合などです。なお、この用法でよく用いられるのは「who/what/which」の3つです。
【疑問詞を使った疑問文の3パターン】
◆1. 疑問詞が主語ではない場合 → 疑問詞を先頭に出した後、基本ルール通りに文を並べる
◆2. 疑問詞が主語の場合 → 疑問詞を主語とした平叙文をつくる
◆3. 疑問詞と名詞をくっつけて一つの名詞を作る場合 → 例外として覚える
疑問詞が主語ではない場合
まずは「疑問詞が主語ではない場合」の、疑問詞を使った疑問文の作り方を学びましょう。なお、私が英会話に取り組んできた体感として、疑問詞を使う疑問文のうち7割程度はこのパターンになると感じています。ですから、このパターンを理解することはとても重要です!
【語順のルール】
疑問詞を先頭に出し、基本ルール通り並べる
①be動詞の文 → 疑問詞 + be動詞 + S…?
②一般動詞の文 → 疑問詞 + do/does/did + S+Vの原形 …?
③助動詞の文 → 疑問詞 + do/does/did + S+Vの原形…?
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①これは何ですか? → What is this?
②君はいつそれをしたのですか? → When did you do it?
③君は何処へいくつもりですか? → Where will you go?
疑問詞が主語でない場合は、「疑問詞を先頭に出し、後は基本ルール通り」でOKです。だからこそ、先に基本ルールを理解する必要があります。なお、基本ルールは、その文の中心にある動詞 (①be動詞 ②一般動詞 ③助動詞)で3パターンに分かれる点に注意してください。
💡補足:文の成り立ち(あくまで「私がどう覚えたか」)
①の例文の形では「これは 何/ペン/リンゴ/夢/飴 ですか?」など、「何」の代わりに無数の候補が考えられます。このことから、疑問詞は「疑問詞のない疑問文での具体物」と同じグループに属し、「be動詞と=で結ばれる」、または「他動詞の目的語になる」と考えます。
ただし、疑問詞は文頭に立ってその仕事をします。疑問詞のあとに置かれる疑問文に含まれるbe動詞が、=の対象を持っていないように見えたり、疑問詞の後の疑問文に含まれる一般動詞が動作の対象(目的語)を持っていないように見えるのに文が成立するのはそのためです。
【働き者の疑問詞】
疑問詞がbe動詞と=で結ばれる、または一般動詞の目的語となる場合、疑問詞の後ろの疑問文は不完全に見えても正しい。なお、具体物や目的語の場所に疑問詞を当てはめたうえで、それを文頭に移動させて疑問詞を含んだ疑問文を作ると考えても良いでしょう。
〇 Is this a pen? (「pen」に「What」を当て、文頭へ移動すると下の文に)
〇 What is this? (「what」が文頭で「this」と=で結ばれる働きをする)
× Is this? (Sとイコール結ぶ対象がないため、文として成立しない※)
※ただし、口語では何か共通理解のある省略が前提であれば成立しうる(主に口語)
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〇 Did you like Tom? (「Tom」に「Who(m)」を当て、文頭へ移動すると下の文に)
〇 Who(m) did you like? (「like」の後ろが無いが、「what」が目的語になる)
× Did you like? (likeを「~を好む」と言う意味で使う場合、目的語(O)が必要)
※多くの動詞は自動詞、他動詞の両方の意味を持つ。likeにも自動詞用法(気に入る)があります。
疑問詞が主語の場合
疑問詞が主語の場合の疑問文は、平叙文の語順(「S V」の語順)で作ります。疑問詞が主語になるという前提なので、当然ここでの「S」は疑問詞。つまり、疑問詞の直後に動詞を置くことで疑問文を作ることになります。なお、疑問詞は三人称単数として扱うので注意しましょう。
【語順のルール】
疑問詞を先頭に出し、直後に動詞を置く
①be動詞の文 → 疑問詞(S) + be動詞(V) …?
②一般動詞の文 → 疑問詞(S) + 一般動詞(V) …?
③助動詞の文 → 疑問詞(S) + 助動詞 + 動詞の原形…?
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①何が問題ですか? → What is the problem?
②誰がそういったのですか? → Who said that?
③誰が私たちに勝てる?(≒ 私たちは無敵だ)→ Who can beat us?
疑問詞は三人称単数なので、①で使われるbe動詞は時制に応じて「is/was」のいずれか、②で使われる一般動詞も時制に応じて「動詞の原形にS / 動詞の過去形」のいずれかです。なお、③の文ではそもそも助動詞が動詞を原形にするため、「疑問詞=三人称」は影響ありません。
〇 What is / was the problem? (何が問題なの / だったの?)
× What are / were the problem? (Whatは単数扱いなので、are / were は不可)
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〇 Who says / said that ? (誰がそれを言う / 言ったの?)
× Who say that? (Whoは三人称単数。時制が現在なら動詞に三単現のsが必要)
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〇 Who can/could beat us? ( 誰が私達に勝てる / 勝てた?)
× Who can/could beats us? ( 主語は三人称だが、助動詞の後ろの動詞は原形)
疑問詞と名詞をくっつけて一つの名詞を作る場合
このパターンでは「What time is it now」のように、疑問詞と名詞を繋げて一つの名詞扱いします。この用法で用いるのは、「what/ which/ whose」で形容詞的に「なんの / どの / だれの」となり後につく名詞を修飾します。なお、後につく名詞は単数でも複数でも大丈夫です。
〇 Whose pen are you going to borrow? (君はだれのペンを借りるつもりですか?)
〇 What colors do you like? (君はなんの色が好きですか?)
〇 Which car did you use? (君はどの車を使ったのですか?)
※疑問詞が後に続く名詞を修飾している。疑問詞の後は単数・複数ともにOK
※疑問詞と名詞を繋げて作った名詞以降は、通常の疑問文の並びで作る(V S…?)。
確認クイズに挑戦
それでは、今回の記事内容を振り返る、恒例のクイズコーナーに行ってみましょう♪
答え:What is that?
日本語訳を見ると、「何」が含まれている。そのため、これは疑問詞を使った疑問文だと分かる。疑問詞を使った疑問文では、文頭に疑問詞を出してその後ろに通常の疑問文をくっつける。be動詞を使った疑問文は、「be動詞+主語…?」であり、「is that?」となる。
答え:Who made this?
疑問形の主語は「だれが」となっているため、これは疑問詞が主語の疑問文だと分かる。主語が疑問詞の疑問文は、「S V…?」でつくる。「だれが」を表す疑問詞は「who」であるため、これを主語(S)として文頭に出して直後に動詞(V)を置く。動詞はmakeだが、訳すべき日本語が過去なので過去形の「made」を採用し、直後に「made」の目的語「this」を置いて完成。
答え:What do you study?
日本語訳を見ると「何」が含まれているため、疑問詞を含んだ疑問文を作る。疑問詞を含んだ疑問文は、文頭に疑問詞を出してから疑問文の基本ルールに沿って「V S…?」と並べる。一般動詞を中心とした文を疑問形にするためには「do/does/did」のいずれかを使うが、今回は時制が現在なので「did」は不適。また、主語は「you」なので三単現のsは不要。即ち、疑問文で使うべきは「do」となる。後は「do」を使って疑問文を作り、疑問詞の後ろに置く。なお、文頭の「What」は「study」の目的語となっているため、「study」の後ろに目的語は不要。
答え:When will you go to bed?
日本語訳の中に「いつ」とあるので、疑問詞を使った疑問文だと分かる。この場合、疑問詞を先頭に出して後は助動詞(今回はwill)を使った疑問文を後ろに繋げればよい。なお、「Will you…?」は依頼の定型表現でもあるため、「Will you go to bed?」は依頼(ベッドへ行ってもらえますか=寝てもらえますか?)と誤解される可能性はある。ただし、今回は冒頭に「When」があるため「will you」で未来の予定を尋ねていると伝わる。
答え:How was your weekend?
日本語訳をみると、「どんな」とあるためhowを使った疑問文だと分かる。疑問詞を使った疑問文は、疑問詞を先頭に出してその後ろに通常の疑問文を繋げて作る。文の主語は「あなたの週末」という単数名詞で、「your weekend」と表せる。また、状態を尋ねるためには「be動詞」を使う必要があるが、時制が過去なので使うべきは「was」。これを「V S」の順番で並び替えると「was your weekend」となり、これを疑問詞Howの後ろに置けば完成。
答え:使えない
「who」を「whom」に置き換えることが出来るのは、「who」が一般動詞の目的語になっている場合。例文の一般動詞は「~を言う」という意味の他動詞、「say」の過去形「said」。「~を」の部分に「who」が入れるならば「whom」も入れるが、「『誰』を言う」では意味が通らない。つまり、「who」は「said」の目的語ではなく、「whom」は使えない。
さいごに
疑問文を作る際に疑問詞を使いこなせるようになると、「はい/いいえ」だけで終わらない質問を作れるようになり、話を広げやすくなります。相手に興味を示せることが、国際人になるための第一歩といえるかもしれません。コツコツと学習を続けましょうね♪