否定疑問文とは
私たちが抱く疑問には、様々なパターンがあります。その中の一つに、否定疑問があります。例えば、いつもは付き合いの良い友人が、何故か旅行の提案には乗り気ではなかったとしましょう。そんなとき、あなたはその友人に「君って旅行好きじゃないの?」と聞くかもしれません。
この疑問文こそが、否定疑問文と呼ばれるものです。疑問の中に「~ではない」という否定が含まれてるため、否定疑問文と呼ぶのですね。なお、否定疑問文には「過去」や「未来」もありえます。例えば「じゃなかったの?(過去)」や「つもりじゃないの?(未来)」という感じです。
・否定疑問文は、文中に否定「not」(~ではない)を含んだ疑問文
・否定疑問文に、時制の制限はない(「過去」「現在」「未来」全てありえる)
否定疑問文は、自分が持っていた何らかの前提が崩れた時などに、確認の意味合いで使われることも多いです。「え、~じゃないの?」って感じですね。
否定疑問文の作り方
否定疑問文には、大きく分けて2パターンの作り方があります。基本パターンと、例外パターンの両方を見ていきましょう!なお、例外パターンの方は日常会話では殆ど使われません。
基本となる作り方(短縮形を使う)
否定疑問文は、普通の疑問文に「not」を差し込んで作ります。「not」を差し込む場所は文中にある「be動詞」「do/does/did」「助動詞」のいずれかの直後で、一部の例外を除いて大抵は文頭になります。なお、否定を表す「not」は大抵の場合、「-n’t」という短縮形を用います。
◆否定疑問文の例文
▼ Are you a teacher? (君は先生ですか?)
→ Aren’t you a teacher? (君は先生ではないのですか?)
→ Weren’t you a teacher? (君は先生じゃなかったのですか?)
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▼ Why did you say that? (君は何故、それを言ったのですか?)
→ Why didn’t you say that? (君は何故、それを言わなかったのですか?)
※否定疑問文が疑問詞を含む場合、疑問詞が文頭に出る。短縮形は疑問詞の後ろに置かれる。
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▼ Can you see that thing? (君は、あれが見えますか?)
→ Can’t you see that thing? (君は、あれが見えないの?)
※意訳。それぞれ「見ることが出来る」、「見ることが出来ない」を転じている。
上記枠内のいずれの場合も、否定疑問文を作る「not」は、「not」とペアを組める単語(be動詞/doなど/助動詞)」の直後に置かれた後、短縮形で表されています。なお、否定疑問文の形を取る頻出表現には、以下のようなものがあるので、余裕があれば覚えておきましょう。
◆否定疑問文を使った頻出表現
▼Why don’t you …?
この表現はやや砕けた口語表現で、「~しないの?」という提案を表します。これは、「何故~しないの?」という元々の意味から派生した訳です。直訳通り、~しない理由を尋ねる意味でも使えます。なお、「Why didn’t you…?」に提案の意味はありません。
→ Why don’t you ask her out? (彼女をデートに誘わないの?)
→ Why don’t you like him? (何故、彼が好きじゃないの?)
→ Why didn’t you come with me? (どうして一緒に来てくれなかったの?)
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▼Why don’t we …?
主語が「you」から「we」に変わると、「一緒に~しませんか」という砕けた勧誘の意味になります。「we(私たち)への提案」と考えれば、勧誘の意味を持つ理由が分かるでしょう。なお、こちらも過去形にすると勧誘ではなく理由を問う表現になります。
→ Why don’t we have a party tonight? (今晩、パーティしない?)
→ Why didn’t we study last night? (僕たち、何で昨日勉強しなかったんだろう ※ )
※ここでは「理由を問う表現」が転じて、「勉強しておけばよかった」という後悔を示しています。
例外的な作り方(短縮しない)
否定疑問文を作る際に用いる「not」は大抵のパターンでは「短縮形(-n’t)」になりますが、短縮形にならない用法もあります。短縮形を用いない場合は、主語の後ろに「not」を置きます。この用法はかなり固い、またはフォーマルな表現です。日常会話で使うことはないでしょう。
◆短縮形を使わない否定疑問文の例文
▼Don’t you agree with my opinion? (君は私の意見に賛成じゃないの?)
→Do you not agree with my opinion?(貴方は私の意見に賛成ではないのですか?)
▼Can’t you say that? (君はそれが言えないの?)
→Can you not say that? (貴方はそれを言うことができないのですか?)
※省略形を使う文はよりカジュアル、notを単独で使う文はよりフォーマル
否定疑問文への答え方
ここまでで、否定疑問文の作り方を学習しました。どれでは次に、否定疑問文への答え方を学んでいきましょう。否定疑問文への答え方は、大きく分けて以下の2パターンがあります。
「Yes/No」で答えられる場合
この場合、普通の疑問文と同じルールで答えます。つまり、冒頭に置く「Yes/No」と後に続く文の「肯定/否定」が揃います。日本語では「はい、違います」は正しいですが、英語で「Yes, I’m not.」は誤りです。コンマの前後は、肯定・否定のどちらかで揃えるようにしましょう。
◆否定疑問文の例文と答え方
▼Aren’t you a teacher? (君は先生ではないのですか?)
いいえ、先生です。 → 〇 Yes, I am. × No, I am.
はい、先生ではありません。 → 〇 No, I’m not. × Yes, I’m not.
※コンマの前後で、「肯定・否定」を揃えなくてはいけません
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▼ Don’t you like sushi? (君は、お寿司が好きではないのですか?)
いいえ、好きです。→ 〇 Yes, I do. × No, I do.
はい、好きではありません。→ 〇 No, I don’t. ×Yes, I don’t.
※コンマの前後で、「肯定・否定」を揃えなくてはいけません
否定疑問文に答える際は、「Yes/No」の後に続く文を先に考え、その答えが肯定なら前にYesを置き、 その答えが否定なら前にNoを置きましょう。上の例では、もしあなたが先生なら(肯定)コンマの前にはYesが、先生ではない(否定)のなら、コンマの前にはNoを置きます。
Yesの後に否定文、Noの後に肯定文は来ないのです。先に後に付ける文章を考え、そこに合わせてYes/Noを付け足すのがコツですよ♪
「Yes/No」では答えられない場合
否定疑問文が疑問詞で始まっている場合、「Yes/No」では答えられないので注意が必要です。例えば、「Why didn’t you come with me?」のように、否定疑問文が理由などを尋ねる場合もあるのです。この場合は、質問への回答では「理由そのもの」を述べなくてはなりません。
◆否定疑問文の例文と答え方
▼Why didn’t you go to bed early? (君はどうして早く寝なかったのですか?)
〇 ~だからです。 → ex.) Because I was watching TV.(テレビを見てたから)
× はい、そうです → (日本語で考えても答えにならない)
× いいえ、違います →(日本語で考えても答えにならない)
※回答はあくまで例。夜更かしした理由ならば、「ゲームをしていた」でも「勉強したかった」でもよい。
確認クイズに挑戦
それでは、否定疑問文の作り方と答え方を確認するクイズに挑戦してみましょう!
答え:Don’t you know him?(君は彼を知らないの?)
→ Yes, I do.(いいえ、知っています)
否定疑問文を作る際は、通常の疑問文の中に「not」を入れる。「not」は普段からペアを組む単語、例えば「do/does/did」、「be動詞」、「助動詞」と連結し、「’nt」の短縮形で表す。今回の例文では「do」が使われているため「don’t」を作り、「do」の場所に入れる。
否定疑問文への答え方は、疑問文が「Yes/No」で答えられるかで変わるが、今回は答えられるパターン。この場合は「Yes/No」の後に続く文章を先に考え、その文章の肯定・否定に揃える形で「Yes/No」を前に付け足す。今回は「私は彼を知っている」と肯定で答えるので、「Yes」になる。
答え:Aren’t you hungry?(君はお腹が空いていないの?)
→ Yes, I am.(いいえ、空いています)
この否定疑問文も「Yes/No」で答えられるパターン。この文で否定疑問文を作る「not」と相性のいい単語は文頭の「Are」。「Are」に「not」をくっつけたうえで、短縮形「Aren’t」とする。これを「are」の代わりに文頭に置けば、否定疑問文が完成する。
答え方を考える。返答内容は、「お腹が空いている」という肯定文(I am hungry)なので、その前に肯定のYesをつける(Yes, I am hungry.)ことで返答文を作ることが出来る。なお、実際に返答するときは、「hungry」は省略して「be動詞」で終わらせる。
答え:Why didn’t you call her last night?
「~しなかった」を含む疑問文なので、過去の否定疑問文だと分かる。ただし、「どうして」もあるため、疑問詞「why」を含んだ否定疑問文である。この場合、文頭に疑問詞を置いた後で、その後ろにルール通りに作った否定疑問文を並べる必要がある。
否定疑問文は、「not」を相性の良い単語(「be動詞」「do/does/did」「助動詞」)と連結させて短縮形「-n’t」とし、出来上がった短縮形を「not」と相性の良い単語(do/does/didなど)と置き換えることで作成できる。
否定ではない普通の疑問文、「彼女に昨晩電話をしたの?」は「Did you call her last night?」であるため、今回使うべき短縮形は「Didn’t」。この短縮形を「Did」と置き換え「Didn’t you call her last night?」を作り、この文を「why」の後ろに置き完成。
答え:正しくない
否定疑問文には、「Yes/No」では答えられない場合がある。例えば、上の例で作った否定疑問文の様に、冒頭に疑問詞が出て理由を問う場合などが該当する。この場合、例えば「Because」などが文頭に来るため、常に「Yes/No」が冒頭に出るとは言えない。
答えの例:Why don’t we have a break?
否定疑問文の形を使った定型表現の一つに、「Why don’t we…?(~しましょう)」がある。この表現を使えば、自分と相手を巻き込んだ提案、即ち勧誘を表すことが出来る。なお、「Why don’t you…?」だと、相手のみへの提案となり、勧誘の意味は失われる。
さいごに
今回は、否定疑問文についてご紹介しました。否定疑問文の作り方はシンプルですが、その答え方は日本語で考えると少し混乱することもあります。今回ご紹介したように、先に後に続く「回答文本体」を考え、そこに「Yes/No」を揃えるようにすれば間違いにくくなりますね♪